2021年2月6日
日本DAISYコンソーシアム技術委員会
本文書は一つのEPUB文書全体についての、EPUBアクセシビリティにおける縦組・横組発見(後述)に関する機構仕様です。
ここでは本文書で用いる用語を定義します。
EPUB アクセシビリティ - 縦組・横組発見要求仕様 1.0によると、PDがある人の縦組・横組発見時の要求は次の2つのパターンのいずれかとなります。
縦組表示と横組表示の両方が可能なEPUBの場合には、読者は記載内容が、縦組を前提としているのか、あるいは横組を前提としているのかを区別できなければなりません。読者はどちらを前提としているという情報を元に記載内容を理解できる必要があります。
縦組表示と横組み表示のどちらを前提としているかという情報は、縦組表示・横組表示の両方が可能なEPUBについて、リーディングシステムが縦組・横組のどちらを優先して表示するかにも利用します。
メタデータとして必要な情報は、「縦組表示が可能」、「横組表示が可能」の2種類に、「縦組表示・横組表示の両方が可能で、縦組が前提」、**「縦組表示・横組表示の両方が可能で、横組が前提」**の2種類を加えた合計4種類となります。この情報をそれぞれ、次の表のステータスコードを用いて表現します。
ステータスコード | 意味 |
---|---|
vertical-writing |
縦組表示が可能 |
horizontal-writing |
横組表示が可能 |
vertical-writing-alternate-horizontal-writing |
縦組表示・横組表示の両方が可能で、縦組が前提 |
horizontal-writing-alternate-vertical-writing |
縦組表示・横組表示の両方が可能で、横組が前提 |
メタデータのaccessibilityFeature
における、縦組・横組に関する情報は、cjkWritingDirection
の直後に/記号を記載し、その後ろに上記表のステータスコードを記載して表現します。
<meta property="schema:accessibilityFeature">cjkWritingDirection/ステータスコード</meta>
cjkWritingDirection
に関するメタデータは上記の4つのステータスコードを一度だけ指定できます。同じEPUB文書に対して異なるステータスコードを複数回付与することはできません。
具体例は以下のようになります。
縦組表示が可能なEPUBに対して付与するメタデータ
<meta property="schema:accessibilityFeature">cjkWritingDirection /vertical-writing</meta>
横組表示が可能なEPUBに対して付与するメタデータ
<meta property="schema:accessibilityFeature"> cjkWritingDirection /horizontal-writing</meta>
縦組表示と横組表示の両方が可能な場合で記載内容が縦組を前提としている場合には、 vertical-writing-alternate-horizontal-writing
を指定し、記載内容が横組み
前提としている場合には、 horizontal-writing-alternate-vertical-writing
を指定します。
具体例は以下のようになります。
縦組表示・横組表示の両方が可能で、縦組が前提のEPUBに対して付与するメタデータ
<meta property="schema:accessibilityFeature">cjkWritingDirection / vertical-writing-alternate-horizontal-writing</meta>
縦組表示・横組表示の両方が可能で、横組が前提のEPUBに対して付与するメタデータ
<meta property="schema:accessibilityFeature"> cjkWritingDirection / horizontal-writing-alternate-vertical-writing</meta>
リーディングシステムは、配信される各EPUBや、リーディングシステム内の本棚内等の各EPUBが有する上記の縦組・横組の発見に関するメタデータを元に、PDの求める表示が可能なEPUBを検索します。
また、リーディングシステムは、現在開いている読書中のEPUBが、縦組・横組に関してどのような表示が可能か、記載内容が縦組・横組のどちらを前提としているかを表示する機能を有するべきです。
以下に、本仕様で言及された文書を示します。